”バブル景気”と言いますと、今となっては遠い昔の出来事になってしまいました。
そんなバブル景気の最中、私は小さな小売店舗を営んでいましたが、さしたる恩恵も感じない日々でした。
ところがある日、応援を頂いていた卸会社の社長より、ダイアモンドの買い付けに行ってほしいとの話を受けました。
聞けば、現在の取引先だけでは必要量が集まらないので、輸入に転業してほしいとの事でした。
小さいながらも店舗も有り、様々迷いもありました。が、ダイアモンドバイヤーは望んでもなれない業務と言うある種の憧れも正直なところ有りました為、引き受ける事となりました。
引き受けてはみたものの、海外での未経験の仕事に対する不安は強く有りましたが、同じ業界内であり18年間の経験と鑑定機関のセミナー参加なので、ダイアモンドの事はことは少しは解るだろうと、ある種の不安を払拭する為のうがった考えを持って初めてベルギーのアントワープに向かいました。
アントワープはイスラエルのテルアビブと、アメリカのニューヨークと並んで大粒ダイアモンドの世界三大研磨地となっております。その他小粒ダイアモンドの研磨地としてインドがあります。
当時、アントワープとテルアビブとで世界のダイアモンドの75%が流通されていましたので、私の買い付け目的の1カラットサイズは必然的にアントワープとテルアビブとなります。
そのアントワープのダイアモンド街に初めて入った時、何もかも初めてでまるでよちよち歩きの赤ん坊が突然大人の世界に放り込まれた心境でした。
取引の仕組みも方法も全く解らず、ダイアモンドの知識についても、日本を出るときのうがった考えも、己の知識の余りにもレベルの低さを思い知らされ、粉々に打ち砕かれました。
この時のショック(情けなさ)は今も鮮明に覚えており、この思いが現在のジュエリーリフォームに繋がります。
続きは次回に・・・。

画像は世界で一番美しいと言われるアントワープ中央駅とノートルダム大聖堂です。