今回〇〇のバイヤーが大変苦労して厳選した、合計1カラットのダイアモンドペンダントに高価なプラチナのチェーン、安心の鑑別書をお付けしてなんと¥49,800.(一同驚いたような大拍手!)但し、70点限りとさせて頂きます。
過日何気なく見ていたテレビから流れてきたショッピングのシーンです。
大写しされたペンダント。薄い泥水のような濁ったダイアモンド。輝いている様子は無し。針金を巻いただけの様な華奢な枠。チェーンは今にも切れそうな細さ。そして鑑別書付き。70点作ってあるかは不明。
これは決してよそ様の商売を中傷して、邪魔をするつもりはありません。
むしろ金額から逆算すれば当然であります。
しかしながら、平成に入り間も無くあのバブル崩壊(知らない方も多くなりましたが)後、長く低迷する宝石業界の生き残りを計る販売方法の二極化がされているように思います。
婚約指輪等に使われる等級の上クラス(美しく輝いているかは別ですが)、一方は完全な安売り用。
僭越ながら申し上げれば、売れさえすればと言うある種まやかしの販売が横行するのは、ただでさえ解り難い宝石の価値を惑わしてしまっている様に心配しています。
その一つの役割を担っているのが、鑑定書、鑑別書です。
上はイメージです。左鑑定書、右鑑別書。
長年日本では、良い物の意味を表したり、真贋を判断する為であったりで、鑑定書、鑑別書、保証書、認定書、箱書き等を付けるのが慣習ともなっています。
特に鑑定書、鑑別書はもれなく付いてくると思われていますが、実際は数千円が商品に上乗せされています。
この鑑定書、鑑別書は似たような物のようですが、持つ意味はだいぶ違いまして、読んで字のごとくですが、鑑定書は見定めるで予め品質を区分けする為に各項目別に等級が定められており、石1個毎に判別して各々表示されています。ダイアモンドのみに発行されます。
(但し、売買の為の目安にするものであり本来の価値を証明するものではありません。)
一方、鑑別書は区別するという意味で、単に天然石であるか人工石(合成石を含む)かの真贋を表しているもので、石の良し悪しには一切関係ありません。
したがいまして、本来ダイアモンドに付けるとすれば鑑定書であるべきですが、等級を表示するのは憚れる低品質には天然石ですという意味で鑑別書を付けることはあります。(信頼関係の中での売買であればあえて有料の証明を付けなくてもというのは自説ですが)
海外では、鑑定書、鑑別書を付けるという日本独特な商習慣について、「日本人は紙で商売している」と評しています。
この事が、工場で同じ形・同じ品質の物が出来る商品と違い、同じものが二つと無い宝石(特にダイアモンド)に判断材料としながらも、等級付けされ(美しい輝きは脇に置かれて)その記号が強調されて価格競争が行われているのが現状です。