同じ宝石業界でありながら、ダイアモンドの買い付けと言う未知の世界に飛び込んで、右も左も解らない地域(実際にはアントワープ中央駅に近い狭い一角)に放り出された風で、戸惑う事ばかりでした。
されど、仕事として来ていますので早く慣れなければなりません。
今になって思えば恥ずかしい事であり、今更ですが先ずピンセットでダイアを挟む、ルーペで等級を判断するを必死に練習をしました。
と言いますのは、1つは小売部門時代は、仕入れ先から届けられたダイアモンドは既に指輪やペンダント等の製品にされたものが大半で、裸石で入荷する事は少ない為、ピンセットで石を挟むこと、品質(グレード)も出されている状態ですので、ルーペで等級を判断するまでもありませんでしたので、ルーペもピンセットの持ち方も、今思えば何処かぎごちなかったのは明らかです。
ところが、買い付けの現場では此のルーペとピンセットの持ち方でこいつは石が見れる、見れないを判断されてしまうといわれるくらい初歩的な行為です。
従って、少しの空いた時間にも一生懸命練習したものです。
余談ですが、今テレビショッピングで現地に行って買い付けして来ましたとの映像が出ますが、僭越ながら石を覗く姿がチョットと思うことがあります。
実際の買い付けは、大まかな等級分け、価格分けされたダイアモンドが各山になった状態(これは恵まれた状態で、ダイアが磨り上がって直ぐに見せてもらえるという事です)で見せられるますので、自分が日本に持ち帰った時にどの等級が出そうだからいくらで買えばよいかを、その場で判断しなければなりません。
そして、見た石が全て買えるわけでなく、品質・値段で引き取る割合は1割~1割5分程でしかありませんので、1回の出張で必要とする1カラットの大きさ(実際は重さ)を200~300ピースを集めるとなるとどれだけの石数を見なければならないか想像して頂けると思います。
このようにして1回が10日程の出張を年6~7回、多いときは9回ありました。不況の現在では信じられない程の石数・回数でしたので、大げさになりますが自分の人生に於いて大きな勉強になり、忘れられない経験でした。
この経験の中で1番の収穫であり、目から鱗であり、僭越ながらバブル崩壊後からの売られているダイアモンドを憂いるもととなった事がありました。
それはまた次回に・・・。
画像は首都のブリュッセルの小さな交差点角に立つ超有名な小便小僧です。
下は、日本では超有名な「フランダースの犬」と言う物語がありますが、現地では殆ど知られていませんでしたが、多くの日本人観光客が訪れた為にともいわれるネロ少年とパトラッシュの像が、最後の舞台となったルーベンスの絵があるノートルダム大寺院の近くに建てられています。