初めて御来店の男性のお客様より、銀製のぐい呑の御依頼を頂きました。
そしてそれに宝石で北斗七星を表現してほしいとの事でした。
銀食器の加工は我々貴金属加工とは別分野になりますが、宝石を留めるのは貴金属分野ですので、同じ業界ではありますが、他分野同志合作の仕事となります。
まずは銀器の手造り職人さんの知己を得て、手絞りでぐい呑を作成してもらい、宝石はサファイアが一般的には青色と思われていますが、実際には各色有る為用意する事に致しました。
問題は石が入っているのを目立たせるには、程々の大きさが必要となります為、そのまま石留めしますとぐい呑の内側に貫通してしまいますし、それを避けるにはかなり厚く造らなければなりません。
そうしますと、かなりの厚さとなり手絞りで曲げる事も出来ませんし、出来ても重くてぐい呑として役に立ちません。
そこで、石の受け座をロー付してそこに埋める事としました。
ところが、金やプラチナであればロー付箇所を温めれば取り付けられますが、銀はぐい呑全体を温めなければ取り付け出来ない為、一番困難した部分であります。例えば一か所は普通にロー付出来ても、二か所目をロー付している時に一か所目が外れてしまう可能性があるからです。
そして、ようやく完成しました。

これでお客様の御要望通りに出来ましたが、一周で北斗七星になっていますが、一目で北斗七星と解る部分が有ってもと御提案し、今度はダイアモンドの色違いで小さく北斗七星を表現して、無色のダイアは銀色に同化して見えない為、周りを黒く仕上げてあります。


お客様はこれに「北斗杯」と名付けられました。
今回を機に鍛金や手絞りの銀器(例えば銀食器・銀杯・仏具の御鈴等々)の御注文も御受け出来る事となりました。
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