当時は、停滞中の今の宝石業界では考えられない程の多量のダイアモンドが必要とされていました。
日本では婚約指輪に多く使われる、0.3~0.5カラットのサイズを中心に盛んに買い付けが行われていました。
私の場合は、それよりも大きい(実際は重さ)1カラットサイズを多量に買い付けを依頼されていました。
一回の出張で数百個を集める必要があります為、アントワープでは十分な量が確保できず、イスラエルのテルアビブにも行かざるを得ませんでした。
初めてのイスラエル(特に首都のテルアビブ)は、巷で言われる危険な国ではありません。
但し、複雑な中東事情により緊張感は有ります。
話はダイアモンドからそれますが、休日を利用して世界三大宗教の聖地エルサレムに行きますと、日本では想像できない中東の宗教・民族が絡み合う世界観があります。
話を戻しますと、国内では大抵はあらかじめ等級が出されているものから選べば良いのですが、買い付け現場では、大まかな区分けされた山から、日本に持ち帰った時に、このくらいの等級になるから幾らで買えばよいかを瞬時に判断しなければなりません。
それまで大した知識の無かった者にとって、相当なプレッシャーとの戦いでした。と同時に前述しましたような原石の透明度が大事とか、産地(鉱山)よって綺麗さや硬さまでも違うとか、日本で鑑定士の資格を取る為の教室で見る数とは全く比較にならない量が見られたのは、とても得難い経験をさせてもらいました。
この経験が良きにつけ悪しきにつけ今に至っています。
次回は鑑定書と鑑別書についてです。
写真は、当時のイスラエルダイアモンド取引所会長兼ダイアモンド協会会長のモシェ・シュニッツァー氏とのツーショットです。
イスラエルの参考画像です。
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